あしたの風

一応ソーシャルワーカーです。

後見ケース①

 先日、夜1時過ぎにスマホに電話がありました。

 夜間の電話はよくない印・・・。

 

 案の定、施設からの電話で、先ほど「マエシマさんが亡くなりました。」と。

 

 

 80歳くらいの中度の知的障害がある男性の方で、私が受任する前から障碍者施設に入所をされていました。私が受任したのは7年前になります。

 

 親戚はあるのですが存命はお一人で血が近くなく、さらにその方も認知症があり高齢なので、関わりとしてはほとんどない状態でした。

 マエシマさんの先祖と家族の墓がその方の墓場の敷地を間借りしているような状態だったので(世代を遡ると本家にあたるようでした)、おうちの方が整理を希望されていましたが・・・マエシマさんは墓じまいすることに踏ん切りがつかない様子でした。

 お寺とは段取り的な相談をしてはいたんですが、お墓が一つではないこと(昔によくあるお一人埋葬したらその上に小さな石碑を建てるタイプが3~4基)、先祖の墓じまい時と本人さんの供養をするときを分ける必要があることで、それ以上の話ができていない状態でした。とにかく本人の意思がはっきりと固まらないことには話の進みよようがなかったですね。

 そして少しずつ本人の意向が変わるのを待って3年目。

 

 体の状態が徐々に悪くなっていってることに不安があったのか、先祖の墓じまいと永代供養を頼まれました。

 

 そこから、後見業務では初めての墓じまいに着手することに。

 

 もうなんというか、面倒くさいにつきました、お寺との折衝が!

 ここのご住職がなんというか持って回った言い方をする方だったので(すみません・・・)、とにかく話を進めるのに時間がかかる!

 後見業務としてできること、立場はお話はしてるんである程度ご理解してもらっていたとは思いますが、実際は実感としては難しいんでしょうね。(お話しされる内容が家族向けなんです。)

 

 まず、檀家になる必要があったので永代供養契約と同時に済ませ、そのあと墓石の撤去(3~4基)、御先祖の御遺骨の永代供養塔への移動、(ご住職の提案で)墓石を本人も参ることができる場所への移動をお寺さん紹介の石材店さんにお願いしました。ご住職と直接やりとりしてもらって作業してもらいました。

 

 事務所から車で30分以上かかるお寺に何回か行き、すべてが完了したのが2か月くらいだったと思います。お盆を挟んでいたので思ったより時間がかかりました。

 

 石材店さんがちゃんと写真を撮ってくれていたので、その写真と、墓石が移動したところまでの道順を撮った動画を施設職員さんとマエシマさんに見てもらって、いつでもお墓まいりできるようにしました。

 体調のよいときに施設さんが数度連れて行ってくれたようでした。(なんせ山にあるので、車椅子の人は難しい・・・)

 

 受任して以来の課題でしたが、なんとかクリアできました!

 

 

 

 事前に施設さんから「亡くなったらできるだけすぐに搬送を」、と言われていましたので(結局朝に搬送されることになりましたが)葬儀社にすぐに連絡し、搬送を依頼。私は朝になってから、葬儀社に赴きました。

 

 亡くなった日と次の日はかなり忙しくなります。(場合によったら更に次の日も)

 相続人等への連絡、葬儀の打ち合わせや行政上の手続き、家裁への報告(家族さんにお願い出来ない場合、火葬等許可の申立をするのが基本)、銀行へ行って現金の引き出し・・・もろもろ。

  これがすでにスケジュール組んである中に入れ込んでいく必要があるので、ハードです。

 お通夜とか本葬とかちゃんとした葬儀はかなりお金がかかるので、後見人等ができる葬儀は本当に最低限となります。相続人が喪主をしてくださればある程度のことはできると思います。遺産から用立てようが、自腹を切ろうが自由なので。今まで見たことはないですが、お金持ちの友人や隣人が自腹で葬儀をするとかでもいいんでしょうが。

 

 今回の葬儀費用は

 葬儀屋さんに払った料金 198,000円(搬送料、部屋の使用料、お棺料、ドライアイス代等々)

 自治体火葬費 18,000円

 お寺への御布施 100,000円(永代供養料はすでに払っていたので、戒名代や納骨に関しての布施、気持ち分)

  でした。

 ある程度はお金があり相続人が不在(推定)の方だったので、これでも奮発した方です。

 檀家になっておられたので、お寺の本堂を借りるとか、住職を呼んでお経だけでも唱えてもらう、というのも考えたんですが、葬儀屋さんによると「費用はお寺さんにもよる。お坊さんに来てもらうとなると結局(会館で)祭壇を設けるのでその料金とか道具類の購入費、車料とか、本堂を借りる場合はお堂の借り賃としての布施とか発生すると思う。」とのこと。

 

 お寺がはっきりと「ただでいいから、本堂使って。」とか「布施は気持ちだけでいいので、お経くらい読みにいくよ。祭壇や道具なくてもいいよ。」とか言ってくだされば予算が組みやすいんですけど・・・(涙)。残念ながら、今回のご住職はそういうのが常にあいまいな方だったので、安全策をとらせてもらいました。

 永代供養時は戒名が必要だ、とか、位牌が必要だけど、とか、戒名は葬儀の過程でつけるものなので本来は葬儀をするんだ、とか、葬儀屋さんに頼むからややこしいんだ、とか、すぐに納骨してしまうんだから壺じゃなくて袋にしてもらったら(「拾骨時は熱があるので壺じゃないと」と斎場からばっさり言われましたけど)、とか・・・いろいろ。

 10万の御布施で全てこみこみでお願いする結果となりました。本当に、結果的にそうなったということです。お骨も結局小さい骨壺に拾骨し骨袋を購入して持っていきました。

 

 基本的には、死後事務に「儀式としての葬儀」は入らないと思われるため、できることがその人次第になります。本人の残り資産と相談となりますし。20万ない人はもう福祉葬決定なので曜日以外では悩みようないし。

 

 ちなみに、通夜ってされる後見人さんいるんでしょうか?これもやはり付随してお金が発生するようなので、私はしていません。

 ただし、死後事務委任契約を結んでいて、通夜を希望されていて、資金が許されるならすると思います。(当然通夜以外の本葬も)

 

 

 

 そもそも、実は私は無神論なので、自分が死んだら海に散骨か樹木葬、はたまた火葬したらそのまま全て火葬場の処理でお任せでいい!って人なんです。(こっちの自治体はとにかく最低でも一部拾骨すべし、なのでできませんが)なので、正直葬式に価値は見いだせません・・・。

 あくまで、私個人の価値観です。

 

 

 

 話を元に戻します。

 この方は他にもいろいろと医療的な問題があって、何度も施設や行政、主治医、入院先、と話しあいを重ねてきたんですが、ターミナルと宣言されてから1年以上たってからのご逝去、本当にお疲れ様と言いたいです。

 最期が病院でなくてよかったと思えたケースでした。